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10/07/2010

次は最上階、特権階級でございま~す。

ドイツからイタリアに来るとTVコマーシャルもおもしろいので退屈しません。どちらの言語も私には解せませんが、リアクションが大きくてなーるほどとすぐにわかるのがイタリアのコマーシャル。
友人とニュースを見ながら、「ねえ、どのニュースにもベルルスコーニが必ず出てくるんだけど見たくない顔よねぇ」と私。「そう、どのチャンネルも彼の統括するメディアセットの傘下にあるから、カメラが違う角度から写してるだけよ。。」「えー、じゃマトモなニュースを見たい人はどうしたら良いの?」チャンネルを換えながら、「これはモンテカルロからなんだけど、このイタリア人キャスター、ベルルスコーニに反旗を翻して去年首になってこの局に移ったのよ、これならまあ見れるかなぁ」

お騒がせ人物、イタリア首相シルビオ・ベルルスコーニ(Silvio Berlusconi)はプラスチック製お面風黒髪、チビでいやに赤黒くてシワ取りか整形かでいつも作り物の笑顔を貼り付けたような顔してます。彼はTV局6つを支配し、デジタル放送局はほぼ100%、すなわちメディアの70%は彼の思うままにコントロールされてる訳です。なかなか怖い話だと思いません?


ミラノ中流階級の出身ベルルスコーニは一代でフィニンヴェスト (Fininvest S.p.A.)という 建設・流通・メディアにわたる企業グループを作り上げました。地位が確立されてからは裏で政治を操る黒幕活動だけでは飽き足らず、堂々と表舞台を歩みだしてもう7年。汚職・売春・放言の疑念疑惑だらけの政治家。オバマ首相の事を「若くてハンサムで日焼けした男」て言ったらしいですよ、ミッシェルオバマの事も日焼けしてるから2人でビーチに行ったんじゃないか、とも言ったとか。そりゃ、イタリア人は日焼けにあこがれますよ~ 日焼け度=金持ち度と思っているのは成金金持ち階級だけだったりして。


こんな番組がありました。7人の一般市民男女の職業を当てクイズ。視聴者から選ばれた一人が回答者です。偽名の男女は何を聞かれても始終能面顔。7つの職業は*パルマハムのスライス専門の肉屋さん *韓国語が堪能 *ソープ番組の俳優 *ストリップダンサー *インターネット会社経営 *チーズの配達人 *50年代の子供テレビ番組司会者などなど、さあ誰が誰?ってなるんですが、回答者は7人のうち、唯一のアジア人女性を「韓国語がしゃべれる人」なんて答えてしまいます。(実は彼女は肉屋の店員)イケメンのちょっとおばか風お兄さんに対しては「ストリップ向きの身体だけどきっと本当は違うわね。」なんてコメントをしちゃいます。(彼はチーズ配達人でした。)意外な人物が意外な職業についていた!驚いた、が、しかし!あまり以外過ぎても視聴者は満足しないのです。
この番組の背景にはイタリアの階級社会の現実があります。
アメリカじゃ絶対にありえない番組です、風体や年齢から職業を推測するなんてso politically incorrect。でもここはイタリア、郷に入れば郷に従え、ジャンニなんて名前、ストリッパーに違いない!なーんて友人とあーでもないこーでもないと言いながら推測した私達です。。

マントヴァから車で1時間ほどの世界遺産サッビオネータ(Sabbioneta)。


下の写真がテアトロ・アランティカ(Teatro All'antica)の内部、壁画に注目。ヨーロッパで最初の市立劇場といわれ、ヴェスパジアーノ・ゴンザーガ・コロンナの依頼で1588年から1590年にかけてスカモッツィが建設した劇場。
特権上流階級が特別席から観劇する模様が壁に描かれています。ゴンザーガ様がお見えになっていない時でも、壁画にかかれた領主様奥様を見て下々の者は安心したんでしょうか。


イタリアとスイスに旅行しましたが、次のブログはスイスよ!と思いながらなかなかスイスに辿り着けません。話題のつきないイタリア、やっぱりおもろい国です。

10/03/2010

にゅるっとしてバキッ

北イタリアはポルチーニマッシュルーム(porcini・ヤマドリタケ)の季節でした。キノコと見るとすぐに顔を近づけて匂いを嗅ぐのが日本人なので、出来る限り接近してみました。触るともちろん怒られるでしょう。くんくん、例のナッツのような香りはあまりしないですねぇ。嗅覚に問題があるのか、それとも輸入物か。


大昔、ローマのトラットリアで初めて食べたポルチーニのソテーに感動した記憶があります。レストランではパスタやリゾットにと極めてシンプルに調理されて出てきます。ポルチーニ自体はちょっとにゅるっとした食感。私はどちらかというと乾燥ポルチーニのファン、太陽の恩恵で生よりがぜんウマ味が増します。干し椎茸と同じですかね、「干し椎茸は生ではグアニル酸の占める割合が少ないが、乾燥して温度が上昇する過程で、リボヌクレアーゼやホスホモノエステラーゼ(干すホモのエストラーゼ?!)等の酵素の働きにより増加するー」だからおいしくなるそうです。なるほど、よくわかりませんね。


ポルチーニはトリュフやマツタケ同様、未だに培養栽培が成功していないキノコで、最近は中国の雲南省で採れたものが世界に流通しているとか。森林開発、大気汚染などでイタリアでは地産ポルチーニはもう市場に出回るほど採れないのかもしれません。こうやって色々な食材やお魚がどんどん姿を消していきます。
昔、母が夜中にこっそり台所で「うまいモノは宵に食え」って言うのよ、ってケーキの残りやお饅をほお張っていたのを子供心になんか変だなぁ、と思いながら私はずっと{うまいモノは食べられる時に思い切り食べておけ}っていう意味かと思ってましたよ。諺の本当の意味は{好都合なことは早くするほうがよい}。。ぜんぜんちゃうやーん、しかも"宵"って日が暮れてまもなくの事よ、母上。
幼少時代のインプットは恐ろしい、食べたことのないモノが目の前にあったら何がなんでも今食べておかないと次がないと思ってしまう私です。

モスタルダ(Mostarda)もおもしろい食材です。
北イタリア、クレモナ(Cremona)の名物でマントヴァでも自家製モスタルダを売るお店がありました。


主に果物、梨や杏、サクランボなどのシロップ煮にマスタードエッセンスを加えたもの、甘いけれどツンと鼻を刺激する辛味。子供の頃からこれを食べ慣れていたら、普通のジャムはジャムじゃない!と思ってしまうでしょう。ボリットミスト(Bollito misto)という茹でた豚肉に添えたり、生ハムやチーズと食べたりします。
そしてこれらがマントヴァのスナック、マントヴァパーネ。



チーズ入りや丸い形のものがあって私は大好きです。が、これが異常に固い。バキッとかじったらパーネが割れたのか、歯が折れたのかと思われる刺激が脳内にヒビきます。
そしてやみつきになるのです。
日本の食材ってどんどん柔らかくなってる気がしませんか?こういうのを食べて育つと顎が発達して弁が立つ人間が出来ると思うなぁ。あーいえばこういうイタリア人、ホンマによーしゃべります。

9/28/2010

領主さま、お姿拝見したかったです。

久しぶりにマントヴァ(Mantova)に来ました。ロンバルディアの州都ミラノから南東へ電車で2時間、この前この街に住む友人に会いに来たのはいつだったかしら。。と記憶をたどれば10年前。
他都市と比べるとイタリアーノは男がイケてます、断然おしゃれスタイルも良いし、ついついじぃーっと見とれてしまいます。カフェでコーヒーを飲みながらObservation。それにしても物価上がったなぁ。コーヒーこんなに高かったっけ。。

欧州共同体(European Union)の母体となる欧州石炭鉄鋼共同体が設立されたのが1952年だそうです。ユーロ通貨(Euro)の発行が1999年、しばらくは自国貨幣と同時流通でしたが2002年に完全にユーロに移行。
2004年くらいにシシリア島に旅行した人が「南の方ではまだリラ(Lira)使ってましたよお」って。かつてのイタリア紙幣覚えてます?何万リラ何十万リラが飛びかって買い物の時、瞬間換算不可能に陥ってパニくったこと、まったくもって混乱を招く通貨でした。欧州石炭鉄鋼共同体の母体6カ国はフランス、ドイツ、イタリア、ベルギー、オランダ、ルクセンブルグですって、あれっ、イタリアもその中心だったのね。
その当時、ユーロに変わってから物価が上がったと感じた人はほぼ100パーセント。今、イタリアのエスプレッソは立ち飲みで1.5から1.8ユーロ位。サルデニア島で毎日バールに立ち寄るおっさんが日に2回、いえ3回行ってダベるとしたらひと月で約100ユーロ、それにタバコ代もあるでしょう。島の運転手の月の稼ぎは1000ユーロ位、イタリア庶民生活も大変ですよねぇ。

友人が連れて行ってくれたマントヴァ郊外の小さな中世の村カステラッロ(Castellaro)、人っ子一人見当たりません。お花の色とコーディネートされたシーツが奥に干してあるので誰か住んでいることは確かですね。


13世紀にヴェロナを治めていたデッラ・スカラ家(the della Scala )は広大な土地を守るために各所に砦を築き西からの敵に備えたとか。この村もそのひとつです。「ここで毎年お花フェスティバルがあるんだけどね、この前来た時は身動きできないくらい人でいっぱいだったわ、薔薇の花びらが石畳の上いっぱいに蒔き散らされてね、すんごくステキよ」とうっとりする彼女。{ふ~ん、村おこしかい、薔薇の花びらぁ?なんじゃそりゃ、カステラッロ名物薔薇ジャムとかは売ってないのか?しかし誰もおらんなー}と回りを見回す私。


石畳をたどっていくと突然立派なお屋敷が現れました。村の地主というか侯爵というか領主様というか、代々引き継がれているお屋敷がこれ。


入り口に居た召使いというか、雇われ人というか使用人と思われるのがこのおっちゃん。


「いやさなぁ~ワっすはここで働きだして45年だわ、ご主人様はそりゃエエお人でぇ、ワっすは幸せモンだあー」と言ったとか言わなかったとか。
友人が「あのぉー、お庭とか見せて頂けないんでしょうか」「庭?この奥の土地、ズズっーとみんなご主人様の持ちもんだぁ、んーだども誰にも見せね。覗きたきゃそこの門から見たらええ」

ケチ!と思いながら、鉄格子越しに垣間見た湖付きお庭がこれ。


ひっそりしたド田舎のお屋敷、いったいどんな人が住んで中はどうなってるのかな。くーっ、気になるぅ。

お昼はヴァレッジオ(Valeggio)というチョビっとだけスケールアップした村で名物カタツムリ料理を頂きました。


カタツムリといっても殻に入ってパセリバターソースをつけて頂くあれではありません。この地方のはハーブと野菜と一緒に煮込んでありました。一見、泥色であまりおいしそうな感じはしません。そして、お味も一見どおりでした。。(残念。。)
ロンバルディア地方ではポレンタ(Polenta)、とうもろこしの粉を練ったものが幅を利かせています。メインの付け合せには必ずポレンタがついてきます。以前は練りきった熱々のが添えられていることが多かったのですが、最近はどこのレストランも冷まして一旦固めたものを切ってグリルしなおして出しています。これはレストラン側の手抜きでしょうね。
マンマが弱火で練り練りしたポレンタが一番おいしいのですよ、かくいう私も5分間ポレンタ常食してまーす。